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世界的なヴィンテージコレクターである寺本欣児が代表を務める35SUMMERS(サーティファイブサマーズ)。インポーターとして神戸で1989年に創業。屋号の由来は、寺本がちょうど60歳となる年で35回目の夏を迎えること。そしてその夏で解散することを目論んでいる。1995年に拠点を東京に移す。現在は、寺本が長年収集してきたヴィンテージが実を結び、実名復刻の走りとなった『Rocky Mountain Featherbed』を筆頭に、『MIGHTY−MAC』、『BIG YANK』を手掛ける。 その一方でパリの名店『ANATOMICA』とタッグを組み、日仏で連携を取りながら、オリジナルプロダクトの企画生産を展開。日本でのライセンスではなく、日本製の製品も現地の『ANATOMICA』で置かれている。逆に日本のヘッドショップには、『ANATOMICA』の代名詞であるモディファイラストで別注したALDENも扱われている。
35SUMMERSが拠点としているのが、東日本橋にある昭和の面影が残るビル。前を流れる川には屋形船が停まり、旧き良き東京が残る。地上7階地下2階という構造で、最上階に寺本のアトリエがあり、その下にはマーケティング部と生産部があり、さらに下へ降りるとファクトリー、そして1階にはフランスの名店『ANATOMICA』の東京店という構成。このビルひとつで、生産から小売まで一貫している。そのことが由来となり、自給自足を意味するSelf-sufficiencyの頭文字を取り、Sビルと名付けた。糸から消費者のもとへ。 まずは寺本のアトリエ。室内には、収集してきたヴィンテージクロージングはもちろんのこと、資料として集めてきた書籍も並ぶ。カタログに関しては1900年代のLevi’sもあれば、1980年代のpatagoniaもストック。ヴィンテージクロージングから着想を得て、まずはイラストに起こすのが、寺本のクリエーションの第一歩となる。
寺本がアトリエで生み出したデザインを、その下の階でパタンナーが図面に書き起こしていく。そしてサンプルを作るのが、さらに下にあるファクトリーだ。ここでは職人が常駐し、展示会に向けたサンプルはもちろんのこと、一部のコレクションの生産まで行っている。そして寺本と生産チームで、出来上がったサンプルを見ながら、何度も話し合い、細かな修正を加え、ようやくひとつのピースが完成する ANATOMICAの中でも定番となっている5ポケットデニムパンツの裾上げもファクトリーで行う。チェーンステッチで仕上げるために、専用のユニオンスペシャルまで完備。その他に『Rocky Mountain Featherbed』のプロダクトにダウンを詰めるための設備もあり、そのポテンシャルは高い。
最上階から段階を経て完成された商品が置かれるのが、1階にある『ANATOMICA TOKYO』。寺本が20歳の頃からずっと憧れを抱いていたのが、パリ本店のオーナーであるピエール・フルニエ。ピエールが手掛けた店舗で、若き日に働いていた経験もある寺本は、2008年にパートナーとしての契約にこぎつける。 そのきっかけは、寺本が考案したU.S.NAVYより着想を得たアウトシームのない美しいシルエットの5ポケットパンツ。それをピエールが見て、この契約がまとまった。また『ANATOMICA』のアイコンであるモディファイラストでの別注ALDENも取り扱っており、本店と同じフィッティングで購入することができる。